ひとまち物語工房

キャリアカウンセリングとまちづくりの仕事をしている「ひとまち物語工房」の働き方や暮らし方を綴ります。

 こんにちは、ひとまち物語工房の服部です。

「僕がファシリテーターとして伝えたいこと」シリーズ第5弾!

いつまで続くんだろう?

まだまだ伝えたいことはあるかな?

前回、前々回と対話とか合意形成が大事って言ったけど、具体的なこと何も伝えてないよなとか思いながら、でもこればっかりでもなぁ。

そろそろ話題を変えようかなと思いながら、きょうもお付き合いください。

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きょうは、ファシリテーターは仕切らないというお話です。

ファシリテーターって、場の進行をバシバシ取り仕切って、落としどころに持って行く人と思っている人もいると思います。

こういうタイプのファシリテーターのことを業界では(?)、「シキリテーター」と言って揶揄することもあるようです。

 

僕自身も落としどころを持って仕切るタイプではなく、その場に集まった人たちが安心して真剣に語り合い、聴き合って、最適解を見つけることをサポートする人でありたいと思っています。

始まるときに答えはありません。落としどころはありません。どこへ向かうかわかりません。どんなプロセスでどんな答えが導き出されるのかわかりません。

そんな場に“頼りないファシリテーター”として立っているのが僕です。

「どうしましょう?」から始めます。

「こうしましょう」とか「こうします」とか言いません。

僕が声をかけて場を動かすのではなく、メンバーの誰かが口火を切って、場が動き出すのを待ちます。

時に長い沈黙が続くこともあります。

でも沈黙は、メンバーひとりひとりがどうしたらいいのか、場にどうかかわるのかを考える貴重な時間であったりもします。

沈黙に耐えられないファシリテーターもいます。

何か話さなければと、メンバーが考える時間をさえぎってしまう人もいます。

 

でも僕は、メンバーの主体性が場に立ち現れるのを信じて待ちます。

いつでもどんなときでもそうするというわけではありませんが、これが僕の基本的な姿勢かなと思います。

 

ワークショップデザイナー仲間の間では、僕は「待てる男」と呼ばれています。

ワークショップデザイナーの研修の中では、何度かメンバーを変えてチームを組んでワークショップの企画や運営に取り組むのですが、個性の強いファシリテーターたちが意見を闘わせ、チームがなかなかまとまらない中、なぜか僕が入るチームはうまく行くと言われていました。

“頼りないファシリテーター”の効用かもしれません。(笑)

 

チームの力を信じて待つこと、沈黙を恐れずに待つことが僕のファシリテーションスタイルになっているのかもしれません。

 

では、またあした。

こんにちは、ひとまち物語工房の服部です。

この「僕がファシリテーターとして伝えたいこと」シリーズも4回目となりました。 

きょうは、「合意形成」について。
 

チームのメンバーが力を合わせて動き出すには、合意を形成することが必要です。

でも、さまざまな意見を持つ多様なメンバーが一つの意見にまとまるのは容易ではありません。

 

合意形成は、全員一致ではありません。

違う意見を持つ人も、完全に同意しているわけではないけれど、チームとして動くためなら自分の意見を譲歩して協力するよという了解が生まれることが合意形成だと思います。

 

そしてそのためには、昨日お伝えした対話が必要です。

対話を通して互いの意見の背景や価値観や思いを理解しあってはじめて合意形成が生まれるのだと思います。

 

合意形成は、集団での意思決定の一つの方法です。

みんなの納得度が高く、合意したことを実行する際のかかわりも主体的になります。

合意形成ができてはじめて、互いに知恵と力を合わせ合う協働が生まれます。

一方で、合意形成には時間がかかります。

いつでも合意形成が最適というわけではありません。

 

緊急時にはリーダーが指揮をしてチームを導く必要がある場合もあるでしょう。

あるいは多数決が合理的、経済的である場合もあるでしょう。

場面に応じで、最適な意思決定方法をとれることが大切だと思います。

 
でも実際に合意形成はなかなか難しいですね。
時間切れになって「とりあえずまあこれで…。」というような意思決定になる場合もよくあります。
でも合意をめざそうと意識して話し合うだけでも場の空気やメンバーの関わり方は変わってくると思います。
合意形成をめざして、対話の場をつくっていきたいです。
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では、またあした。

こんにちは、ひとまち物語工房の服部です。

昨日に続き、僕がファシリテーションにおいて、大切だと思うことをお伝えしますね。

 

僕はファシリテーションを「人々が対話を通して合意を形成し、協働を促進するための場づくりの技術」というように解釈しています。

そして、そうした場づくりのベースとなる「対話」を大切にしたいと思っています。

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「対話」は、雑談のような目標や目的がなくてもよいものでもなく、議論のように意見を闘わせて白黒決着をつけるというものでもなく、目的を持って、テーマに沿いながら互いの意見とその背景にある価値観や気持ちも尊重し、理解を深め、アイデアをつなぎ、新たなアイデアや考えを生み出す創造的な話し合いです。

 

雑談と議論と対話では、聴き方やかかわる姿勢が違います。

雑談では自分が話したいことを話します。

そのため相手の話を聞きながらも、頭では自分が次に話すことを考え、自分の話を割り込ませるタイミングをはかっています。

議論では、自分の意見を主張することに力が注がれます。

そのために相手の話を途中でさえぎったり、聞いたとしても弱点を見つけるためやあげ足をとるためだったりします。

 

これらに対して対話では、相手の意見をしっかり最後まで聴き、判断を交えずにいったん受け止めます。

賛同して受け入れるということではなく、ただそういう意見なのですねと受け止めるのです。

そして、その意見の背景にあるその人の価値観や思い、気持ちにも関心を払い、ときには質問をして、理解に努めます。

互いを尊重し、理解を深め合うことで、それぞれの意見を掛け合わせて新たに創造的なアイデアが生まれることもあります。

 

僕たちが社会で直面する問題には、正解がないものがほとんどです。

この正解のない問題に取り組むとき、議論や多数決によって解決策を選んだとしても、それに反対する人は従おうとしません。

議論や多数決によって納得感の薄い解決策を採用するのではなく、僕たちは深い対話を通して合意を形成し、最適解を導き出すことが大切だと思っています。

 

互いに尊重し合い、安心して語り合える対話の場をつくっていきたいと思います。

 

つづきは、またあした。

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